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風神雷神図屏風の模写で気づいた宗達と光琳の違い [琳派]

風神雷神の風神を模写では「俵屋宗達」版と「尾形光琳」版を見て描いていました。

で気づいたこと・・・が今日のブログネタ。

描いていくと横に置いた「宗達」と「光琳」の絵が微妙に違うのがわかります・・・。

ちなみに
fujin_raijin_sotatsu.jpg
↑これが宗達


fujin_raijin_korin.jpg
↑これは光琳

ぱっと見て色のくすみがあるのが宗達かな・・・古くて、しかもお寺で空気に晒されてたからかな・・・
そんな感想持ちました。
でも細かく見ると結構明確に違う点がたくさんあります。
風神雷神の輪郭とかは見事なまでに同じなんだけど・・・
  
  ・腕や足の筋肉を表す線は光琳の方がむきむき(たくさん線がある)

  ・雷の太鼓がついてる輪と肩の周りになびく緑の帯が前後関係違う。
   ↑これは重要だと思います。光琳は後から実物を見ながら描いたので
    なにか重大な意図があったんじゃないかと思うんです。

  ・雷雲が宗達ではこぶりだけど、光琳は大胆に広がってて
   足は雲に隠れてる。
   ↑これも意図的なんでしょう。光琳のは真っ黒くて大きく広がってるんです。

  ・髪が宗達は茶色で塗ってあるところに黒で線。
   光琳は茶色なしで黒の細い線のみ(髪の間に金の地が見えてる)
  ・口の中の色や腰布の中に宗達は茶色で描いてるところを
   光琳はかなり生々しい赤(しゅいろ)。

   ↑光琳は宗達が使った茶を好まなかったようです。茶より赤が目立ちます。
    僕には毒々しくすら思われました・・・。

  ・雷神のまわりにたなびいてる帯の形はまったく同じだけど
   色とねじれ具合(裏か表か)が部分ごとに違う。


  模写はつぶさに見るのでいろんなことが気になりますね。

  琳派の画家で有名どころの人はみんな描いてるこの風神雷神図は
  それぞれの人の作品が前の作品をみて
  何を模写し、何を模写しなかったか・・・をみるとなんだか絵で目指したことが
  考えられるなぁと思い興味深かったです。

  もう宗達にも光琳にも聞くことができないのであくまで僕の想像ですが・・・
  それぞれの画家が目指したことはこんなだったんじゃないかな・・という感想を述べてみます。

  まず宗達の絵・・・
  農業に恵みをもたらしつつも恐るべき破壊を伴う、雷と嵐・・・
  これが主役になったというのは新しいセンスだったんじゃないかと思います。
  もともと扇をおしゃれに装飾して売るようなしゃれ人です。
  彼の風神雷神は仏画の元々持っていた神々しさを茶目っ気たっぷりに
  描いてみたユーモア画であることがその本質だと思います。
  今回模写しなかったのですが風神(右隻の緑の神様)の足の形や表情の可愛らしいことといったらありません。
  二人の神様が追いかけっこして遊んでるのがこの絵の本質だったのだと思います。

  金箔の下地の神々しさで豪華でうやうやしくなってるところが独特の魅力ですが
  宗達がそもそも意図してなかったような茶目っ気ではない神々しさが出てしまったのではないか
  と思います。


  でもって光琳・・・
  帯を雷太鼓の輪の前後に振り分け雲に足をうずめてみたり
  雲がよりダイナミックに前後に広がってるように見えます。
  より立体的に見える・・・
  そして唇や衣の鮮やかな赤が生々しい。
  光琳はこの絵のユーモラスさではなく、リアルな迫力をよしとしたんだと思います。
  あるいは宗達以上に人に迫るような絵を描こうとしたのではないかと思います。


  こんなこと考えてると僕はどう描こう・・・そんなことつらつら考えました。
  僕はへぼいアマチュアの絵の愛好家ですが
  どちらかにだけ酷似してる絵を描いたら、それはなさけない・・・。
  模写が好きなんじゃなくて、絵が好きなので自分はどう描くべきかを考えようと
  思いました。
  
  どの絵を模写するときも細部には自分なりのこだわりで変化を加えようと思います。

  光琳の方が力強く見えた・・これは僕にとっては間違いない感覚。
  でもこの絵は可愛らしさも併せ持つべきだと思う。

  (僕の決めた雷神)
  ・筋肉の線は光琳メインでちょっと気に入らないところを宗達風に
   →迫力あるのはいいこと・・

  ・雲は手前は大きめにして光琳風・・でも後ろのところは遠近感だすのに
   宗達風のままに・・
   あまりどす黒くしたくないけど、広がってるのはいいと思う。
   前の方だけ広げて後ろの雲は少なめに宗達のコピーをしよう・・・

  ・口の赤・・・なまなましくて強いんだけど・・・この色だけは
   僕には宗達がよく見える・・・茶色。腰布も茶色。
   →横に避けた大口が可愛らしく見えるためには赤が強すぎる。そう思いました。 

  ・たなびく帯の片側・・・光琳にならって手前。立体感を感じるから

  ・帯の色・・・自由に緑基調に書く。

  トレースしたからって言ってまったく同じに描かなくてもいい。
  模写に個性があってもいいと思う。練習じゃなくて、素人が自分の満足で写しとる自分の絵なのだから・・
  どうせ技量も及ばないのだから好きなようにやろうと思います。
fujin.jpg




【余談:その他の琳派の描いた風神雷神】

ちなみに風神雷神は江戸琳派の酒井抱一(ほういつ)も鈴木其一(きいつ)も
描いてますが、やはりそれぞれ同じ絵なのですが、細部に個性があります。
抱一の絵は見つかったのでここに載せておきます
fujin_raijin_hoitsu.jpg

鈴木其一のそれはふすまに描かれていて金の下地すらありません。
(書籍で見たのですが・・写真は持ってません。)
其一のは筋肉の表現などがより写実的ですし、金字がないぶん風神が風を送ってるように
流線が斜め上に追い上げるように吹いてます。

日本画の特に詳しい方でなければこの二人は名前知らないかもしれませんね。
琳派といわれる中で尾形光琳を私淑し、その生誕100周年になる時期に光琳の作品を
江戸から日本全国に知らしめる模写をしまくったのが酒井抱一。
その一番弟子が鈴木其一です。
以後は江戸で光琳の画風を独自に受けついで先生と弟子が脈々と絵を描いていたので
これらの人を江戸琳派と言ってます。


酒井抱一 (別冊太陽 日本のこころ)

↑僕はこの本で抱一にほれ込みました。ご興味ある方どうぞ^^
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コメント 2

みっちゃん

感心しました。また、勉強になりました。これからは風神雷神図を、ちょっと違った目で見ることになりそうです。
by みっちゃん (2012-01-23 05:20) 

山田守

西洋の一流画家が二次元の絵を何世紀も前に卒業しているのに、日本の「職業画家」は、宗達、光琳、探幽、北斎、広重にしても、影も光も存在しない漫画みたいな絵しか描けていない。芸術家ではなく、腕のいい職工ですね。
by 山田守 (2015-11-30 13:02) 

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