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菱田春草のこと・・・ [近代日本画家]

最近とても気になる画家が居ます。(もう・・タイトルに書いてるけど)

明治時代の終わりにあまりにも若く(満)37歳で亡くなり、
僕は最近までその人の絵は2枚しか知らなかったのですが
すごく気になってたのです。

その二枚の絵はどちらも重要文化財指定されてます。
重文指定はなかなか明治くらいの新しい作品でつくことはありません。

短い生涯なのに死の3年前に網膜炎と目の病気を患って
絵画制作を医師に止められて、死の直前には失明してます。

岡倉天心という明治の美術界をリードした人の愛弟子で
(同期に下村観山がいます。)
財政難でも絵を描いて、家族で生活費の安い茨城に引っ越してたり・・・

僕が知っていた二枚の絵は
「落葉」

「黒き猫」
です。
猫は絶筆だそうです。

僕には落葉の方がインパクト強くて、実物が見たくてたまらないのですが
永青文庫という美術館(細川家のコレクション展示館)にあってなかなか出てきません。

若くして亡くなられたので
重文が二枚・・・たぶんこれがベストくらいだろう・・・と高をくくっていたのですが

とある本屋で小さい写真文庫で「菱田春草」のタイトルがあるのを
見つけて、立ち読みしたら買わずに居れなくなりました・・・・



菱田春草 (新潮日本美術文庫)
←この本です。
小さな本ですが、彼の魅力を知るには十分・・
(あまり高い画集だといろいろな作品に触れたい僕には痛い・・・)

重文指定は少なくとももう2作ありました・・。この近代画家が4枚も指定されてるなんて・・・。



面白い彼のエピソードがたくさん載ってます。
・兄弟は物理や工学で先生になった。
・小学校の先生が中村不折という有名な洋画家で
 「絵をやれ」と進めたら
 将来は法律家になりたい・・と言ってた。
・美術学校に進んだ傍ら英語の学校にも通いダブルスクールだった・・。
・仏画の模写をやるときに古い色を自在に真似て混色する技能を見せた・・。
・インドやアメリカニューヨークで展覧会開いた。(横山大観と下村観山も・・・)

彼は学校の卒業制作で平安末期の奈良の焼き討ち事件の絵を描くとして奈良や京都に取材旅行までしながら
最後には未亡人となった女性が孤児を抱いて夫の遺品と見られる甲冑を悲しげに眺める作品を
提出します・・・
(タイトルが「寡婦と孤児」なので、赤ちゃんはその女性の子ではないのだろうと思います。)

岡倉天心が校長だったのだそうですが、教員たちが迷っていた成績審査で
天心が最優秀に押したそうです。
僕は菱田春草が他人と技量の差を見せ付けるつもりだったなら
もっと別の絵が描けたと思いました・・・・在学中に描いた風景画は古来の
日本画家のTopレベルの人に劣らないと思います。
このときの先生は橋本雅邦という人(この人も重文指定のある当事を代表する画家でフェノロサという外人から洋画も学んだ人です)ですが、まったく劣らないと思いました。

「寡婦と孤児」は技量を見せるにはあまりに素朴な背景・・古めかしい引目鉤鼻の女性・・・
卒業の成績をどうにかしようとしたら不利だと思いました・・・。

技量ではなく画題なのかもしれません・・。
この本にある他の菱田春草作品をみるとこんなにメッセージ性の強い絵は
あまりないように思います。(多少仏教に関係する絵はありますが・・)
基本は技法を模索して試行錯誤を重ねている恐ろしくレベルの高い風景画・・・
だのに「寡婦と孤児」はあまりに叙情的です。
大家となってしまってば描けない絵だなと思いますし
「南都焼討」を描け・・・といわれればこんな絵を描く人だったんだと思いました。

この人はいろんな技法を試してた・・・たぶん長生きしていい絵をたくさん描こうとしてたんでしょう。
「○○を描け・・」とお題が決まれば
「どう」描くかに気持ちの問題を持ち込める叙情性があって
気の向くままに描いてる時期(卒業後ほとんど)は
まだ修行中の意味なのか、風景を「どう」描くかを一生懸命模索してたんだろうと思います。

彼が朦朧体というぼやけた景色のスタイルを確立して
そのぼやけた景色にあわせて小さな小さな鳥の群れる影を置く絵のリアリティは
「あ・・・その景色みんなのまぶたの中にあるよ」
と感じさせられます。(夕の森@飯田市美術館、雨後@山種美術館など・・・)

かと思えば、墨だけでそれ以前の水墨画のスタイルとぜんぜん違うタッチで写真のようにリアルな
絵を描いてみたり・・・(寒林@霊友会:こちらの方が朦朧体より古いです・・・)

落葉@永世文庫は琳派の画風を感じます。でも真っ白なイメージでどこに焦点あわせて見ればいいかよくわからない不思議な印象・・・。すごい心に残る。
なかなか公開されないのでちょこちょこチェックしようと思ってますが
都内で見れないものか・・・(永世文庫の作品はサテライト的に熊本の美術館で展示されます。細川家ゆかりの地だからだと思いますが・・・)
絵のタッチが似てる武蔵野@富山県立近代美術館も興味ある・・・

多作です・・
名作というかあまりにもすばらしい絵がたくさんあって
見たいのですがあまり展示されてない・・

まだ江戸時代の有名な画家なら、大きな展覧会で人を集められるかもしれませんが
明治だとつらい・・・

洋画も日本画も含めていろんな絵を見つめて行きたいと思うのですが
日本画は洋画にくらべて人気がないのか膨大な所蔵作品があるのに
展示されてないものが多い。

明治以降は特にそう・・東山魁夷とか例外はあるけど・・・
もっともっと見られなければいけない画家がたくさん居る
ように思うのです。

こんなブログちょこちょこ書きながら
みんなで日本画はやし立てて人気に火をつけて展示させたい・・・

という気になりました。


空海もギリシャも見てきたけど&今その記事書いたほうがブログ見てくれる人が多いと思うけど
なんかこの画家のことが書きたくなりました。

技法の探索に明け暮れる彼が長生きしてたら晩年にどんな画題を見出して
どんな絵を描いただろうとしのばずにはおれません・・・
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藤島 修

一日アクセスしなかったら・・アホな人がしょうもないコメントしてた・・・

まじめに絵のこと語ってるんで勘弁してください・・・。
by 藤島 修 (2011-08-15 19:53) 

千織

はじめまして。春草の大ファンで、検索サイトからこのブログにたどり着きました。今年は春草の没後百年で、出身の長野県では大きな展覧会が3つ行われていました。ご覧になられていたらすみません。今年は普段見られない宮内庁や個人蔵の絵が、数多く展示されています。出てくる機会も増えていると思いますので、チェックしてみて下さい(^^)
by 千織 (2011-10-17 00:31) 

藤島 修

千織さん

はじめまして。お返事遅くなってすみません。
&ありがとうございます。

没後百年の展覧会あったのはいろいろな方のブログで知ってたのですが
東京在住でいけませんでした。
みたいですね・・ぜひとも機会作って見に行きたいです。
ありがとうございます。
by 藤島 修 (2011-10-21 16:15) 

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